七夕の節句

  1. 日本の暮らし

織姫と彦星が、1年に一度だけ、天の川を渡って会うことができるというこの日。
夜空に天の川を見ることを楽しみにするのですが、星空を見ることの出来た記憶は殆どありません。
七夕の日に降る雨を「催涙雨」と呼びます。

「催涙雨」は、雨が降ると、天の川の水嵩が増して渡れなくなってしまい、織姫と彦星が会えなくなってしまう嘆きの雨と言われます。
けれど、あまりにも会えない期間が長いと、嘆きのあまり織姫の仕事が進まなくなってしまいます。
そこで、天帝はカササギに命じて、その羽で橋を掛けさせます。
こうして2人は無事、七夕の夜に会うことが出来る様になったのでした。

三光之内 星 「夜ばひ星」「牽牛」「織女」 歌川国貞 安政6年(1859)

七夕は、日本・韓国・中国で祝われますが、韓国では七夕に降る雨の時刻で意味合いが変わるようです。
七夕の朝に降る雨は、会えなかった1年分を憂う「嘆きの涙」。昼と夕方に降る雨は、1年ぶりに会えたことの嬉しさを表す「喜びの涙」。夜から明け方に降る雨は、また1年間離れて過ごさなければならない「悲しみの涙」と考えるようです。

2021年、この場所で過ごす7月7日は、雨からスタートし少し太陽が見えて明るくなってきています。
会えなかった嘆きの涙も収まって、1年間会えなかった間に起きた出来事などを、和やかにお話しでもしているのでしょうか。


旧暦7月7日は、現在の8月にあたりお盆の時期にあたります。
明治5年に施行された改暦によって、日本の暦は月の満ち欠けの周期を基にした太陰暦から太陽暦に変わりました。
太陽暦では、その年の7月7日毎に月の状態は異なりますが、旧暦では月の満ち欠けで日にちが決まるため、旧七夕は必ず上弦の月の日となります。
旧七夕は梅雨の時期も明け、安定した空模様となって、星空を楽しめることが多いようです。


多くの方が一度は耳にしたことがあるであろう、童謡「たなばたさま」には、少ない文字の中にも、七夕にまつわる内容がたくさん詰め込まれています。

「たなばたさま」

ささの葉さらさら
のきばにゆれる
お星さまきらきら
きんぎんすなご

ごしきのたんざく
わたしがかいた
お星さまきらきら
空からみてる

作詞:権藤花代 

七夕の節句は、日本の民間伝承に因んだ「棚機津女伝説」と中国の「乞巧奠(きっこうでん)」の牽牛・織姫伝説が結びついたものとされています。
短冊に願い事を書いて笹竹に吊るすという習慣は、竹竿に糸をかけて裁縫や習字の上達を星に祈ったという中国の乞巧奠(きつこうでん)の習わしを、平安貴族たちが真似て梶の葉に歌を書いたのが始まりと言われています。

七夕が一般的に広まったのは、江戸時代とされ、幕府によって重要な季節のお祝いの日である、五節句の一つとして盛大に祝われるようになります。

当世葉唄合 七夕の図 三代歌川豊国

江戸時代後期には、各地域で七夕祭りが盛んに催されるようになり、地域にちなんだ祝い方が発展していきます。

現在も青森で催される「ねぷた」や、秋田の「竿燈」などの眠り流し行事も七夕祭りが原型になっていると言われています。

また、七夕といえば多くの人が連想するであろう七夕飾りは、五色の短冊に願い事を書き、紙や布で吹流し・着物・折鶴・巾着・投網などを作って竹に飾ります。

笹飾りには、様々な願いが込められています。

【五色の短冊】
陰陽五行説を由来とする、青・赤・黄・白・黒色の短冊に願いごとを書いて飾ります。
七夕の由来から裁縫の上達など、物事の上達を願って書いた方がよいとされています。

【折鶴】長寿祈願

【吹き流し】裁縫の上達を願う

【巾着】金運の上昇

【くずかご】整理整頓。質素倹約

【神衣・紙衣(かみこ)】厄除け。身代わり


七夕の夜は、織姫と彦星に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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